故郷の惨状
207 名前:学者スコットその後 投稿日:2000/09/03(日) 14:04
スコットはアレクサンドリアにて魔道の成り立ちと歴史を研究していた。
しかし、戦争が始まり、研究を続けるという夢は破れ、ここ、故郷トレノへと傷心の思いで帰ってきたのである。
「こ、これは・・・、何ということだ。」
しかし、トレノもまた、エーコとガーネットの激突、長引く戦争によりすっかり荒廃していたのである。
「我が家は・・・、カシュオーン家は無事なのか?」
無事なはずはなかった。スコットがたどり着いた家があったと思われる場所には地面が大きくえぐられており、焼け焦げた跡があった。
スコットはふとあるものを見つけた。
・・・焼け焦げ破損した鷹と蔦のレリーフが施されたカシュオーン家の家紋である。
「おおおおおおっっ・・・。」
スコットは泣いた。
こんな酷い仕打ちがあるだろうか?何のために自分はアレクサンドリアで研究をしていたのか?
家も職も失い、これからどうすればいいのか?スコットは途方に暮れるしかなかった。
そんなスコットに近づく影があった。
「キョキョキョキョキョ、・・・これはこれは。道の真ん中で何をお嘆きなのかな?」
スコットは顔を上げた。そこには、おお、何ということだろう、身なりこそはまともだが、到底、まともとは思えない異様な男がそこにいた。
背は高く、目つきがギョロッとしたその男は、ヒト科ではなく、鳥類を思わせた。
「(死を運ぶカラス、いや、悪魔の鳥)・・・!」
スコットのその男の第一印象であった。
ある男の助け
208 名前:学者スコットその後(2) 投稿日:2000/09/03(日) 14:29
道の真ん中で焼け焦げた地面の穴の前で座り込んでいるスコットと背の高い鳥を思わせるような男が向き合う。
「戦争で家を無くされたのかな?お困りであれば、わが家を貸してあげても良いが、どうかな。」
ありがたい申し出だった。しかし、この男は何者であろう?
そんな黙っているスコットの気持ちをこの男は見抜いたのだろうか?
「わしの名前はボーゲンと申す。伯爵の冠を頂いておる。このトレノのれっきとした貴族じゃ。」
スコットはその名前を聞いたことがなかった。
疑問が拭えないスコットに対し、ボーゲンはかつては落ちぶれていたが、今回の戦争のお陰で成り上がったと語ってくれた。
戦争で儲けてしまい、代償として、身寄りのないものを引き取っているのだとも語ってくれた。
スコットはいま一つ、このボーゲンなる男に対し、信頼を置けずにいたが、他に方法もなく、従うことにした。
「ささ、どうぞ、あちらが我が家です。」
ボーゲンの案内した家は、意外にこじんまりとした屋敷だった。
戦争で儲けているのならば、さぞ、立派な家に住んでいるのだろうと思ったのだが、一般的な造りの屋敷に、スコットは意表を突かれた。
しかし、その屋敷の中でスコットはこの男のとんでもない趣味に驚愕するのだった。
「こ、これは・・・!!」
屋敷の中には、何ということか・・・。
裸にされ、何一つ身にまとっていない少年と少女達が屋敷の調度品を整えてたり、掃除をしたりしているのだった。
あるものは小ぶりな乳房を露にさせて。あるものは股の下についたモノをプラプラさせて。
悪夢のような光景だった。
「キョキョキョキョキョキョ、喜ばれましたかな?」
ボーゲンがスコットの顔をのぞき込むように言う。
胸がむかついた。これが人間のすることだろうか?通常の感覚では考えられなかった。
ボーゲンはフフフと笑うと、パチンと指を鳴らした。一人の少年がボーゲンの近くに寄り、人間椅子の格好をすると、ボーゲンは少年の太ももにドカッと腰をおろした。
苦しそうな顔をして呻く少年。
「これが人間のすることか?!」
スコットは怒りと驚きのため、震える声で言った。
狂えし男
209 名前:学者スコットその後(3) 投稿日:2000/09/03(日) 14:34
「キョッ〜キョッキョッキョッキョッキョッ。いかがですかな?私の可愛い下僕どもは?みな、12歳から15歳の頃の美少女、美少年ばかりを集めてみました。皆、著しく教育が行き届いております。たまにはこうして、客人に見せてやりたい、・・・そうですな。コレクター心とでも言うのですかな?キョッ〜キョッキョッキョッキョッ・・・。」
ボーゲンは少年の股をまさぐり、局部を屹立させると、ゆっくりと愛撫し、激しく、しごいた。
やがて、少年の呻き声と共に、白濁した液体がこぼれ出した。
「く、狂っている!!」
はき捨てるように言うと、スコットは出ていこうとした。
グ、グル〜、グルルル・・・。
いつの間にか扉の前には大きな獣が立ちふさがっていた。
2つの首を持つ、ゆうに3mはあるだろう犬。いや、犬と呼ぶにはその獣は大きすぎた。
「ケルベロスと申します。わしのかわいい合成獣ですじゃ。近づくと火を吹きますよ。」
ボーゲンはそう言うとフワリと宙に浮き、スコットの目の前に舞い降りた。
「ケルベロスの餌にするにはまだ、もったいない。」
ボーゲンは白く発光した拳を突き出すとスコットを奥へと突き飛ばした。
「うっ・・・。」
壁に打ち当たり、呻くスコット。
「この暗黒の時代にどんな夢が見られましょうや?人は他人を妬み、恨み、世界に憎しみを抱く。希望はどこにもないし、救いはやってはこない。そんな時代を生きるのならば、せめて、自分の好きなことをしていたいではないですかな?キョッキョッキョッ・・・。」
スコットの最後
210 名前:学者スコットその後(4) 投稿日:2000/09/03(日) 14:35
やがて、スコットの頭をボーゲンが抱えた。
チュルチュルチュルチュル・・・。
ボーゲンの口から舌が伸びた。ながく、細い。
その舌をピンと伸ばすと、スコットの頭に突き刺した。
「あああっっ!!」
「このときを待っておりました。あなた様の知識、役立たせていただきます。スコット様のお帰り、待ちどおしゅうございました。」
そう言うと、ボーゲンは脳みそを吸い出した。
スコットの目から涙がこぼれ出した。まるで、蛇に飲み込まれる小動物だった。人生の終わりに学者スコットの考える事はここで終わる人生よりも、鬼畜な男に殺される事よりも、この人外な男が何者か知りたかった。
ちゅるちゅるちゅるちゅる・・・。
世にも奇怪な音が部屋中に響き渡る。しかし、少年少女達は何事もないかのように作業を黙々と続けるのだった。
彼らも同じように脳みそを感情を吸い取られてしまったのだろうか?
・・・ちゅる。
やがて、ボーゲンが奇怪な食事を終えると、スコットの体を手放した。
スコットの体が床に落ちると空っぽの頭が床にあたり、コンと良い音をさせた。
「食っていいぞ。ケルベロス。」
待っていたかのように、ケルベロスは脳みそのない体にむしゃぶりついたのだった。
〜学者スコットその後・終わり〜
幻獣界でGO!
212 名前:幻獣界でGO! 投稿日:2000/09/03(日) 15:34
私の名はバハムート。
幻獣の長である。我らは数千年の間平和に暮らしていた。しかし最近、この平和な幻獣界の中で大規模な喧嘩が起こるようになってきた。
イフリートとラムウである。
イフリート「オラオラァ!今日こそ決着をつけてやるぜジジィ!!」
ラムウ「ハン!貴様ごときに負けるわしではないわ!ピチピチシヴァはわしのモンじゃいィィイ!!」
シヴァ「いやん、二人共私の為に争わないで」
そういうシヴァの顔はまさに悪女であった。
244 名前:タイトルメーカー 投稿日:2000/09/04(月) 00:36
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245 名前:タイトルメーカー 投稿日:2000/09/04(月) 00:36
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.|;=;| ..| | .| | | | /| .| ヘ ヽ .黒 |`l_| | | | .| |_| | | ヘ ヽ | |. .|. .アレクサンドリア許さない. .|
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ファイナルファンタジーIX "アフターストーリー" 「アレクサンドリア許さないアレクサンドリア許さない」
ミコト VS ゾディアックブレイブ
250 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/04(月) 00:58
「たった1人でわたしたちの相手をするつもり? 随分甘く見られたものね」
ルビィは呆れたように肩をすくめた。
「…ブランチスピア…」
ミコトが無表情に呟いたのと同時に、ルビィの背後に立っていた大樹の枝が突然音を立てて断裂し、
風を切る飛槍と化してルビィに襲いかかった。
「なっ!」
ルビィの左腕が浅く裂け、その白い腕に真紅の雫が滲み出す。咄嗟に身をかわさなければ、槍と化した
樹の枝が確実に心臓を貫いていたに違いなかった。
「こいつめ、怪しげな術を!」
ルーンアックスを構えて突撃して来たシナの全身に、突然無数の傷が浮かび上がった。僅かに遅れた
タイミングで傷から血が溢れ出し、その痛みと驚愕にシナの突進がとまった。
「くっ、なんだこれは! 鎌鼬か?」
ミコトはシナが怯んだのを見ると、腰にぶら下げていた小さなベルを手にとって、ゆっくりと鳴らし始めた。
尻尾の生えた少女が小さなベルを鳴らしている姿はさながら御伽噺の一場面と言った趣で、場違いな程に
非現実的だったが、ミコトの瞳に浮かぶ冷たい殺意がシナの意識を現実に引き戻し、その身に迫る危険を
認識させた。シナが慌てて飛び退くのと、先程までシナが立っていた場所が、ミコトの鳴らす
ティンカーベルから生じた指向性の破壊音波によって粉砕されたのはほぼ同時だった。
「…おたく、やるねぇ。どうやら只者じゃないようだな。ひょっとして、あんたがミコトかい?」
「………」
「やっぱりそうか。聞いてるぜ、あんたの事はな。ジタンの右腕なんだって?」
「ふぅん、あんたがミコト…。つまりジタンの今の情婦って訳ね」
危うく殺されかけた恨みもあり、ルビィの口調は憎々しげだった。
「…ジタンと私はそんな下劣な関係じゃない…」
ミコトは相変わらずの無表情だったが、ルビィの言葉にその瞳の冷たさが一段と増したようだった。
ミコトの実力
251 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/04(月) 00:59
「あら、やっとまともに口をきいてくれたわね。そんなに頭に来たの?」
揶揄するようなルビィの態度に、ミコトは破壊音波を放つ事で応じた。破壊音波は不可視のエネルギー
だけに不意をつかれれば回避するのは困難だが、ベルを振る動作が大きいので、放たれる瞬間にさえ
注意しておけば、軌跡を見切ってかわす事は比較的容易い。当然、余裕を持って身構えていたルビィも
あっさりと回避してのけた。
「…本気で怒ってるみたいね? すました顔しちゃって、内心じゃはらわたが煮えくりかえってた
ってトコかしら? ジタンがどう思ってるかは知らないけど、少なくともあんたの方は相当ジタンに
イカれてるようねぇ」
「無駄口は…そこまでよ…」
ミコトは左手首を軽く振った。それと同時に、周囲の樹木から無数の蔦が凄まじい勢いで噴出し、
蛇のようにのたうちながらルビィとシナに絡まりついた。
「な…なんだこれは!」
「体が…思うように動かない…」
振り解いても振り解いても絡み付いてくる蔦地獄に囚われた2人のゾディアックブレイブは、周囲の空間が
奇妙に歪んでいくのに気がついた。あのカイナッツォ以上の凄まじい魔力が、ミコトの細い体に集中していた。
『まずいな…何をする気かはこの俺にも分からんが、このままでは確実に殺られる!』
『ダテレポで脱出するってのはどう?』
『いや、周囲の空間がこれだけ歪んでいる状況での空間跳躍は危険だ。下手すりゃ、石の中にいるって事にも
なりかねんぞ』
精神感応での会話は、通常会話の数倍の速さでの意思の疎通を可能とする。それなりに精神力を消耗するので
普段から使う事はないが、緊急時には非常に頼りになる能力と言えた。とは言え、状況を打開する方法が
思いつかなければ、せっかくの高速意思疎通能力も宝の持ち腐れであり、今のルビィとシナはまさにそれだった。
突然、ミコトの周囲に渦巻いていた魔力が最初から何も無かったかのように消失した。
『攻撃をやめた?』
『いや、嵐の前の静けさって奴だ…来るぞッ!』
ミコトは精神集中の為に閉じていた目を静かに開いた。
「…アルマゲスト…」
突然その一角に生じた圧倒的なエネルギーに、大戦艦パラメキアは文字通り激震した。
走る激痛
261 名前:53の続き 投稿日:2000/09/04(月) 02:46
フライヤ「・・・エーコ?・・あの・・エーコ・・なの・・・か・・?」
かつて面識ある少女のあの姿。その当時の面影は完全に消え去り、今のそれは
邪気と妖気に満ち満ちた雰囲気。虚空より現れた彼女の、そのあまりの変貌にフライヤは言葉を失う。
ベアトリクス「・・・・違う・・。彼女は・・彼女じゃあない・・・・」
フライヤ「!・・何??」ふいに、自分の横で呟いたベアトリクスの言葉を
耳にしたかと思った・・・瞬間!!シュウウウウウウウウウウゥゥゥ―――・・・
エーコの眼光が眩き緑光を放った!!その・・眼光の先は・・・フライヤ!!
フライヤ「!!!ッッ!!??ぉおお!!?うぐぐあああああ・・ッ!!!」
その緑の眼光を向けられた途端!フライヤは突如胸を掻き毟るかのように苦しみ出す!!
・・!心臓が・・!!まるで暴れている様に・・!!意思とは無関係に激しく脈打つ!!・・
・・・身体中の血が・・!!まるで沸騰しているかの様に熱い・・!!・・
・・・!!身体の・・!身体の体内(なか)が!!・・!壊れてしまいそうだ・・!!
フライヤ「うああああああああああああ――ッッ!!!!ぐうううぅぅぅッッ!!!」
ビクビクビクビクゥゥッッッ!!!!凄まじい痙攣!!!身体は背骨が折れんばかりに
反り返り、眼は完全に白く剥き上がっている!!!
ベアトリクス「!!!??フライヤッ!!!」
その、あまりのフライヤの異状にすぐさま駆け寄るベアトリクス!そして―――――――――
ガクッ・・・ガクゥゥッ!!バタッ!!
フライヤは2,3の痙攣の後、ベアトリクスの腕の中へバッタリと倒れこんだ。
シュウウウゥゥゥ――・・・
・・そして・・まるで潮が引くかの様に苦痛が消えてゆく・・・
フライヤ「・・ッ!ハァッ・・!ハァッ!・・ハァッハァッハァッ・・」
激しく切れる呼吸。滝の様に流れ出る汗。・・しかしどうやら意識はある様だ。
ベアトリクス「・・!フライヤッ!フライヤッ!?」
フライヤ「(・・・うぅ・・い・・まのは・・一体・・?)」
未だ混乱の極みにある2人に対し、エーコは静かに口を開く・・
エーコ+??「・・フム・・成る程・・。ガーネットの言っておったとおり・・
・・・最早、私の力は及ばぬか・・・・珍しい・・現象だ。」
別人
262 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/04(月) 02:49
フライヤ「(・・??一体何を・・何の事を言っているのじゃ?・・うぅ・・っ)」
身体中の力が完全に抜けてしまっている。未だ立ちあがる事は難い。
ベアトリクス「フライヤ・・・大丈夫か?」
なんとか、槍を支えによろよろと立ちあがるフライヤ。
フライヤ「・・うむ・・なんとか・・大事は・・ない。・・それよりも・・」
そして眼前に立つエーコの姿に視線を移す。
依然、彼女は無表情然にフライヤとベアトリクスを見下ろしている。
フライヤ「・・まるで・・別人じゃ・・。彼女も・・まさかガーネットの様に・・?」
ベアトリクス「・・・違う・・そうじゃない・・・・・彼女は・・そう・・
彼女は今・・・身体を何者かに・・「支配」されている・・・。」
エーコの姿をどこかうつろな目つきで見つめるベアトリクス。その視線は正確には、
エーコ ではなく、彼女の・・「背後」に向けられている。
フライヤ「・・?支配??」
ベアトリクス「・・・そして・・「それ」は・・私を・・私を知っている・・!」
フライヤ「???」まるで何か自分にしか見えないモノでもみているかの様な
雰囲気のベアトリクス。一向にフライヤには彼女の言っている事を
理解するに難い。そして―――――――――
ベアトリクス「・・・・・・姿を・・現しなさい・・」
ベアトリクスはエーコ・・の「背後」に向かって静かにそう言い放った・・。
真実の姿
263 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/04(月) 02:53
瞬間!!エーコの表情が瞬時に邪悪な微笑みに染まる!!
エーコ+??「ククククク・・私の姿を感じたか?ベアトリクス。」
その声はエーコの口から発せられるも、最早完全に別人の声!!そして――――
フライヤ&ベアトリクス「!!!!!!!!!!!!!!!!」
シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥ―――!!!
突如!エーコの身体を覆うオーラが四方八方に解き放たれ!・・それは渦を巻き、
眩くそして青白き輝きを宿し・・・再びエーコの身体を包み込む!!!
その気体の蠢きは更に勢いを増し、エーコの背後に覆い被さる様にして・・
凝縮・・・・形状を変化させ・・そして!一人の・・一人の人間の姿を成した!!
フライヤ「・・!!こっ・・これは・・・・・!!!!???」
ベアトリクス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」
2人の前にその姿を実体化させた「それ」は妖しく、そして眩き光を発しながら・・
周囲の大気は凍りつくが如く・・黒き闇の渦中に全てを呑み込まんとするが如く・・
エーコ+思念霊体「・・ああ・・そうだ・・この眼にて直に捕らえるまでは・・・
・・・しかし、確信したよ。・・その・・瞳・・・その・・身体・・・その全てから・・・・
・・・・感じる・・感じるぞ・・・「欲望」と言う名の・・・最高の「力」の波動を!!」
微かな記憶
265 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/04(月) 02:55
ベアトリクス「・・・私の・・私の体内(なか)から伝わってくる・・・感覚・・それは・・
・・そう、私の・・私の生まれてきた・・記憶・・・そう・・呼べるのかもしれない・・
・・・微かな・・微かな・・感覚を、伝えてくれる・・映してくれる・・。教えてくれる・・。
私が・・・アレクサンドリアを発った・・あの日からずっと・・・・・。」
実体化したその「思念霊体」の前で、微塵の動揺も無く、そう、まるでそれは
互いに面識があるかの様に・・・ベアトリクスは話しかける。
しかし依然として表情は無く、視線はうつろなまま。どこか夢見心地の様な雰囲気。
ベアトリクス「私は父も、母も、知ることは無い・・故に、私がどの様にして
生まれてきたのかなど知る由もない・・・けれど・・・。」
エーコ+思念霊体「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ベアトリクス「・・けれど私は確かにこの世界で生まれた、・・ずっとそう思ってた。
・・・それが当たり前だと思っていた・・・・・・でも・・・でも・・・・!
・・・この記憶は・・私のこの記憶は・・・一体何・・・?・・・・・そして・・
・・・そして私の・・・私の体内(なか)に・・どうして?・・どうしてこの様な・・・・
・・・・・・この様な「力」が封じられている・・・・!?」
エーコ+思念霊体「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ベアトリクス「・・・貴方は・・私を知っている・・私の全てを・・・そして・・
・・・そして私も・・・貴方を・・・貴方を知っている・・・遠い・・遠い記憶の中で・・」
エーコ+思念霊体「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ベアトリクス「・・・・貴方は・・・そして・・・・・「私」は一体何者?」
その者の名は
266 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/04(月) 03:01
エーコ+思念霊体「・・・・・遥かなる次元を越え、幾星霜もの時空の果てに・・
大いなる「欲望」・・そして大いなる「犠牲」の上に生み出されし
哀れなる魂は、かくて封印の「器」としての「生」を与えられた・・・・。
限りなき沈黙と、大いなる光の壁に覆われし文明・・そして偉大なる魔導の力・・
エスタ ・・と呼ばれしその世界にて・・ そして私はエスタの民・・・・
大いなる「力」・・・「太陽の力」を生み出せし者・・
我が名はゼムス・・・
イリアの変貌
276 名前:ななしさん@おなかいっぱい 投稿日:2000/09/04(月) 10:19
無残な死体…それはもう死体というよりも
ただの肉片と化していたのだが…、
そのそばで、まるで肉片を慈しむかのように
じっと見つめる少女がいた。
少女の名は、イリアといった。
と、イリアは突然、声をあげて笑い出す。
「くくく…すばらしい」
ただの肉片は、つなぎ合わせると2人の兵士になる。
イリアは、先ほど「マリン」という名の女に会った。
「おまえ、自分の存在に意味がほしいだろう」
その女は、イリアの手に「星宮キャンサー」を渡した。
そしてこういった。
「これでおまえの生きる価値が生まれた。
おまえはエーコ様のために働くことで、
己の存在価値を見出せるだろう。
おまえの「生」への執念はすさまじいが、
その裏づけが何もなかった。
しかし、これでおまえの「生」への執念は
尽きることないだろう。
エーコ様のために、生きろ。
おまえはもう、その他大勢の民衆ではない。
ゾディアックブレイブの一人だ。」
信じられないほどのパワーがイリアにみなぎった。
「それがおまえの「生」への執念だ。
しかも、心地よい波動…
けして聖なるものではないな。
見こんだとおりだ。」
取り憑かれた心
277 名前:ななしさん@おなかいっぱい 投稿日:2000/09/04(月) 10:20
イリアはマリンにエーコへの服従を誓った。
しかし、その前にひとつだけしたいことがある。
そう申し出て、イリアは自分を汚した男たちの元に
やってきたのだ。
「ただのメイジマッシャーだけでこの威力…くくく」
イリアは転がっていた目玉をゆっくりと踏み潰した。
しかし、まだ自分の筋肉を動かすことになれていなかった
イリアは、たった一人だけ取り逃してしまった。
それは、少し前まで祖母がかわいがっていた兵士だった。
イリアのことをかわいがってくれた兵士だった。
かつては「おにいちゃん」と呼んだ兵士だった。
公園や市場やいろいろなところに自分をつれていってくれた
兵士だった。
イリアは、しかし昔のことなどは一切懐かしいと思わなかった。
ただ、そこにあるのは憎しみのみ。
あの兵士の言葉を思い出した。
イリアは願った。どうかあの男を殺させてください。
この手で。この私の手で。
「ぼくは、アレクサンドリアがとても好きだよ
…その気持ちは誰にも負けない。
アレクサンドリアと共に君のこともきっと守るよ…」
これは、あの兵士の言葉。
…もう、あのときの気持ちなんかなくなってしまった。
あるのは、憎しみのみ。
…あの兵士を殺したい、殺したい、殺したい、殺したい。
殺したい殺したいころしたいころしたいころしたい
ころ…たいころ…たい
イリアの体が、瞬間ゆがんで、そして消えた。
見知らぬ男
279 名前:ななしさん@おなかいっぱい 投稿日:2000/09/04(月) 10:37
イリアの目の前に、見知らぬ大男が立っていた。
そしてここは、
狭い洞窟のようなところである。
「誰であるか」
男は、背負っていたアルテマソードを抜いた。
「こっちこそ聞きたい。おまえ、誰だ。」
イリアは困惑していた。ラウダの元に行くはずだったのに。
早くしなければあの男を取り逃がしてしまう。
「…ラウダは…いったい…?」
「ラウダ?ラウダを知っているのであるか?」
その大男は、突然興奮したようにしゃべり出した。
「すると、アレクサンドリアのものであるのか?
名はなんと申す。
何故こんなところに突然現れたのであるか。」
「ええい、うるさい。今ラウダを逃がすわけには行かないのだ。」
そういいながら、イリアは目の前の男の顔を睨みつけた。
…どこかで見たことがあるような気がする。
それはどこだったか。
しかし、今はそれどころではなかった。
ラウダを殺さなくてはならない。
イリアは、男を押しのけて前に進もうとした。
「待つのである。アレクサンドリアからきたのであるか?
…!!」
イリアは、なおも追いすがる男にメイジマッシャーを
むけた。イリアのねらいでは、その首をたやすく掻ききれるはずであった。
しかし。
男はその大きな体に似合わず、ひらりと身をかわした。
「私はアレクサンドリアを捨てた。
アレクサンドリアのことなど、知らぬわ!!
さあ、そこを通せ。私は急いでいるのだ。
通さなければ…切る!」