伝染〜Gトランス
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436 名前:427の続き(388の続き) 投稿日:2000/09/08(金) 04:46―――次元の狭間ジェイド―――
ゼムス「・・Gトランスとは、いわばウィルスに似通った伝染型の魔導エネルギーの一種。
それは、個から個へと注入させ得る行為において、初めてその能力は伝達される
事となる・・。・・故に私の計画せしプログラムにのっとった、正確な行動のもとに
その能力を伝えてもらう必要がある・・・。」
フライヤ「・・・!!クイナの思念を・・乗っ取って・・おぬしがやはり操っておったのか・・。」
ゼムス「・・そう、お前達にGトランス能力を与えるまでは、全て私の指示によるもの。
・・クイナに与えたGトランスのエネルギー、そしてその力を伝達させ得る対象の記憶。
・・この世界において、我等の次元のもの・・Gトランスのいわば「封印」を解き放つ・・
それが私の作ったプログラム・・そして、その行為を私に代わって行ってくれた「代役」・・
それが・・・クイナだ。」
437 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/08(金) 04:48
ゼムス「・・個から個への伝達・・クイナから・・フライヤ・・ガーネット・・エーコへと・・
見事、Gトランスの対象者への伝達は・・成功。・・・・・フライヤ。そうお前もクイナから
気付かぬうちに、その力を与えられていたのだよ。」
フライヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!!!!」
ふいにフライヤの脳裏に、一同が最期に会した時の記憶が蘇った!
フライヤ「(リンドブルムでの・・!私達7人が最期に会した・・あの日・・あの時!
・・まさか・・・あの時に私達はクイナにGトランスを・・・・・!!?)」
人格操作
438 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/08(金) 04:49
ゼムス「・・さて、お前達の体内に与えられしGトランス能力は、ある程度の潜伏期間
(個人差あり)を経て、その力が発動・・そう、覚醒へと至る。
そして、覚醒の際、Gトランス能力者にはある一種の共通した副作用が起こり得る。
それは、思念、精神、すなわち己の心、全てを初期化・・白紙へと戻し、そして
その人格に強制的な変化を生じさせる・・それはもう一つの別の人格を己の新たな
人格とする事。・・・・私はそれらの副作用を、利用・・応用し、私個人による
能力者への思念操作を試みた。」
439 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/08(金) 04:51
ゼムス「・・・・それは、お前達がその眼、その身体をもって良く理解しているな?
今、この世界の現状・・そして何故この様になったのか・・・その原因たるGトランス
能力者の新たなる人格の正体を・・・・。」
フライヤ「・・・暴力に狂った・・・・思念・・・・・!!・・・おぬしがそれをッ!!!」
ゼムス「私は、魂の循環をより壮大に引き起こすが為、覚醒の際に起こる副作用、
そう、白紙に返る人格を、ある共通した「キーワード」によって支配する様、Gトランス
エネルギーにメモリーさせた・・。
・・・いうまでもなくそれは、・・「血と暴力による快感」だ・・・・・
>>464
酔っ払い
446 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/09(土) 07:30
ゴォンゴォン…
一路ダゲレオを目指し飛行するインビンシブル2。
そのブリッジの片隅ではささやかな宴が開かれていた。
「飲んでるかぁ〜サラマンダー?ウィック、フ〜」
すでにギルガメッシュは出来上がっており良い気分でふらふらと一人のジェノムに近寄る。
「ジェノムのおねぇちゃ〜ん、自動操縦の設定はもう終わってんだろ?」
「こっちで一緒に飲もうぜぇ、お酌してくれよぉぅ」
レーダーにて敵の影を観測していたジェノムの肩に手を廻す。
「我忙」
そのジェノムは気安く廻された手を振払うとキツイ顔でギルガメッシュを睨みつけた。
「つれない事言うなよぉ、しかしあんただけ他のと違うんだなぁ?喋り方とか髪の色とかさぁ?」
「我戦闘試作型、故銀髪隻眼」
レーダーから目を逸らさず淡々と答えるジェノム。
447 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/09(土) 07:31
「んん?そうなのかい?なんでもいいよ、さぁこっちこっち」
嫌がるジェノムの腕を強引に引っ張るギルガメッシュ。
「不許可!」
ズン!
銀髪のジェノムの踵がギルガメッシュの足の甲にめり込んだ。
「ギャゥッ!」
ギルガメッシュは余りの痛さに飛び上がると恨めしそうな顔でジェノムを一瞥して引き下がった。
「チッなんでぇ、ノリのわかんねェ奴はやだね〜…っとなんだよお前ら。」
ギルガメッシュの行動の全てを見ていた二人があきれ顔でギルガメッシュを迎える。
「お前少し飲まれ過ぎだ、ペースを落とせ」
見るに見兼ねたスティルツキンがギルガメッシュをたしなめる。
「うるせぇ俺様の勝手だ!」
「大体なんだお前ら俺様に助けてもらっておきながらその態度は!」
「特にサラマンダー!お前を助けたのはこれで2回目だぞ!」
「本来なら俺様にすがりついて涙のひとつも浮かべながら礼を言うのがスジってもんじゃないのかぁ!?」
酔いにまかせ悪態に拍車が掛かるギルガメッシュ。
酒の肴
448 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/09(土) 07:33
「ほれほれ、今からでも遅くは無いぞ?サラマンダー?」
挽肉の腸詰めを口に運びその手にもったフォークをサラマンダーの鼻先でちらつかせる。
「くっ、こいつなんてたちの悪い酒を飲みやがる、許せんコロス」
普段なら軽く流せたであろうギルガメッシュの悪態を酒のせいもあってかまともに受け止めてしまう。
カチャッ
サラマンダーは懐からルーンの爪を取り出すとおもむろに右手に装着した。
「おっおい落ち着けサラマンダー、お前も少し酔って来たみたいだな…っと、こら!」
「いただきぃ〜」
ギルガメッシュはスティルツキンの手から盃を奪い取ると一気に呷る。
「ブフ〜ッペッペッ、なんだこりゃ?まじぃぃぃっ!」
普通の酒のつもりで口にしたその酒は予想に反して酷く苦くあわてて吹き出すギルガメッシュ。
「なんだと!ふっこのクポ酒の味がわからんとはもぐりの酒飲みだな、なぁサラマンダー」
「ぬ?あ、ああそうだな」
急に話題を振られ思わず調子の狂うサラマンダー。
「くけ〜どうかしてるぜお前らの舌はよ!うっぷ悪酔いしちまった」
「ううむ、ムニュムニュ、グガ〜」
449 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/09/09(土) 07:34
宴の為に急ごしらえされたテーブルに突っ伏してギルガメッシュはいびきをかきはじめた。
「…ったく場を荒らすだけ荒らして寝ちまいやがった、ダゲレオ行きの理由は聞けずじまいか」
「まぁいい、サラマンダーお前の話を聞かせてくれよ」
「酒のつまみにはならんと思うが…」
「勿体振るなよ、さあ話せ」
「いいだろう」
サラマンダーはこれまでにあった事をスティルツキンに話した。
はがゆくも楽しかった二人旅、ラニを信じきれなかった愚かな自分、
そしてそのラニの命を自らが奪ってしまった事、カードから聞こえて来た声、
魔王ガーネットとの対峙、不様な敗北。
ジタンとの再会とラニ生存の報せ、そして取り引き。
「…と言う訳だ」
話しを終えたサラマンダーはブリッジの小窓から外を眺める、
いつの間にか日も暮れ、いまは辺り一面の星空を覗かせていた。
「なるほどな…そのラニさんとやらを救う為にか…」
「ああ…」
スティルツキンに話をした、いや話を聞いて貰ったというべきか、
サラマンダーは話を始める前に比べ気分が少し軽くなっている事にふと気付いた。
人質
453 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:17
シナはニヤニヤと笑いつつ、うつ伏せに倒れて負傷に喘ぐミコトを仰向けに寝かし直した。
ゆっくりと覆い被さりながら、苦しげに上下する少し小ぶりな双丘をまるで指先の体温で
溶かそうとでもいうかのように、しつこく柔らかく撫で上げてゆく。同時に反対の手が
ミコトの服の留め金をひとつひとつ器用に外していった。
「…う…」
「お、気がついたのか?」
組み伏せられる事への本能的な恐怖からか、半ば朦朧とした状態であったにも関わらず、
ミコトはシナから逃れようと激しくもがいた。しかしミコトの細腕では、ゾディアックブレイブへの
変貌を遂げる事で驚異的な身体能力を獲得したシナの拘束から逃れるのは、所詮無理な相談であった。
「グフフ、ちょうど意識の無い人形みたいな体を抱くのは詰まらないと思っていたところだ。
精々抵抗して楽しませてくれよ」
加虐的な薄笑いを浮かべ、暴れるミコトから無理矢理服を剥ぎ取ろうとしていたシナだったが、
突然その動きがピタリと止まった。首筋に冷たい金属が押し当てられていた。
454 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:19
「そこまでにしたら?」
「…どういうつもりだ、ルビィ?」
不興げな顔でシナが振り返った。首筋の斬鉄剣がすっと外れた。
「そのコ…かなりの重傷よ。それ以上続けたら死ぬわ」
「だからどうした? こいつはクロマ軍の需要人物だ。どうせ、いずれ殺す相手だろうが?」
シナは腑に落ちないといった表情で立ち上がった。
「わたしたちの本来の目的を忘れたの? 本当の狙いは何だったかしらね?」
「…そうか。ジタン相手なら、こいつは人質に使えるかも知れんな」
「そういう事。だからまだ生かしておくべきよ。任務が終わったら好きにすればいいわ」
「…無駄よ」
冷ややかな声が響いた。
「…ジタンは…合理的な判断をするわ…人質なんて無意味…」
意識を取り戻したミコトはふらふらと立ち上がってそう言ったかと思うと、
全身の力が抜けたのか、再びガクリと片膝をついた。
455 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:19
「ふぅん…あんたって意外にジタンの事が分ってないわね」
ルビィが哀れみつつも何処か挑発するような口調で言った。
「…貴女には分っていると言うの?」
「そりゃあ、あんたよりはね。わたしは子供の頃からジタンと一緒に暮らしてたもの」
そう言ってルビィはクスリと笑った。
「貴女の知っているジタンと今のジタンは違う! ジタンは…」
ミコトが珍しく大きな声を出した。
「うふふ…そんなに向きになっちゃって。可愛いわよ」
『…向きになっているの? 私が? 何故?』
思いもよらぬ事を指摘され、ミコトは混乱した。
わかってない!?
456 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:21
「ジタンはね、昔も今も違わないわよ、お嬢ちゃん」
歌うような口調でそう言ったルビィは、できの悪い生徒に辛抱強く物を教える教師のように、
ミコトの周囲をぐるぐると回りながら先を続けた。
「今のジタンの行動には、確かに昔からは想像もできない事が沢山あるわ。でもねお嬢ちゃん、
人間の本質なんて余程の事がなければ、そんなに大きく変わりはしないのよ。わたしやシナは
知ってる。ジタンは本質的には甘い男だってね。あいつが身近な人間をあっさり見捨てられるほど
冷徹になれるとは思えないわ。そりゃ、指導者という立場にいる以上、もしかしたら今のジタンは、
必要ならすべてを切り捨てるだけの覚悟を持っているのかも知れない。でもその決心をする前に、
間違いなく動揺と葛藤があるはず…そしてそれだけでも、わたしたちには十分な意味があるのよ」
457 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:21
「…違う…違うわ…ジタンは…」
力無くそう呟きはしたが、ミコトはルビィの言っている事が完全に的外れな見解ではない事を
認めない訳にはいかなかった。ジタンが何処かで自分の気持ちを殺して行動している事は間違いない。
ダリの一件以来、感情の機微に疎いミコトにもそれは薄々感じ取れていた。
「フフ…顔色が変わったわね。どうやら、わたしの言ってる事が正しいって解って貰えたみたいね」
458 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:22
「…ジタンを…ジタンを殺らせはしない…」
ミコトは片膝立ちの姿勢のまま、周囲の自然エネルギーに意識を集中した。
ソニックブーム…突如ミコトの周囲に巻き起こった風が瞬く間に音速を越え、衝撃波を生み出した。
衝撃波が大気を裂きつつルビィに向かって突き進むする。まともに喰らえば、ゾディアックブレイブと
言えども、ただで済むとは思えない一撃であった。しかし、重傷を負って完全な精神集中もままならない
今のミコトには、自然エネルギーをそれだけ精妙にコントロールする事はできなかった。衝撃波は
避けるまでも無くルビィをそれ、パラメキアの内壁に虚しく穴を穿つのみであった。
459 名前:魁!名無しさん 投稿日:2000/09/09(土) 23:24
「へえ…まだそんな事ができる力が残ってたんだな」
シナはニヤニヤ笑いながらミコトに近づいてきたが、突然怒りの表情になって、
ミコトの腹に鋭い蹴りを叩き込んだ。
「…グッ」
もんどりうって倒れたミコトは、そのまま咳き込んで吐血した。
「人質だと思って、俺たちがお前を殺さないとは思うなよ。お前はは切り札ではなく、あくまでも
確実性を高める為の手段だ。生かしておく事がリスクになると思ったら、その場で殺す。
それを覚えておけよ」
そんなシナの言葉を遠くに聞きながら、ミコトは再び意識を失った。
説得
460 名前:こいつらの始末でもつけますか・・・ 投稿日:2000/09/10(日) 03:40
少し時間をさかのぼって・・・・・
ブランクにルビィを連れ戻すように頼まれていたベネロとゼネロはやっとのことで
トレノ壱番街の阿片窟にいるルビィを見つけだし、帰るように説得を続けていた。
ベネロ「いい加減にするでよ!こんなところにいつまでも居るわけにはいかないでよ!」
ゼネロ「だからブランクはまだ生きているって言ってるでよ。
大けがは負ったけれども命には別状ないでよ!」
だが、二人の必死の説得にも関わらずルビィは一向に耳を貸す様子もない。
ルビィ「だからほっといてって言ってるやろ・・・・。
そんな見え透いた嘘つかんといて。よけい哀しくなるさかい・・・」
ルビィが精神的にも肉体的にも衰弱の極に達しつつあることは二人の目にも明らかだった。
ゼネロ「困ったでよ・・・。これではルビィが死んでしまうでよ」
ベネロ「仕方がない。力ずくで連れて帰るしかないでよ」
461 名前:こいつらの始末でもつけますか・・・ 投稿日:2000/09/10(日) 03:42
そう言って二人は強引にルビィを引っ張っていこうとする。
しかしルビィは駄々っ子のように大暴れして行くのを拒否し続けていた。
その時、阿片窟の入り口からでっぷりと太った赤顔の中年男と異様な老人が姿を現した。
その場にいる全員の目が奇妙な出で立ちをした二人に一斉に注がれる。
二人はそれには全く構わずしばらく中を見渡していたが、やがて中年の男の方が口を開いた。
「おうい、みんな!
この近くでマントを羽織い、すっごくおっきな剣を背負った剣士を見なかったかな?
とってもかっこいい男前なんだけどねっ!」
しかし周りに反応はなく、冷ややかな眼で中年を見つめている。
「ふぬぬぬぬぬ!無視かいな。テュポーン先生、どうします?」
テュポーンと呼ばれた老人は落ち着いて答える。
テュポーン「いや確かにこの当たりに反応があったのじゃ。
奴は絶対この近くにいるはずじゃ。
この中に奴と強い結びつきをもつ者がおるはずなのじゃ。
探し出すのじゃ、オルトロスよ」
騒ぎ
462 名前:こいつらの始末でもつけますか・・・ 投稿日:2000/09/10(日) 03:43
オルトロス「ほんじゃ、適当に捕まえて連れ出してみよっかな〜」
オルトロスと呼ばれた男はそう言うなり近くにいた脱獄犯の頭をわしづかみにした。
物凄い力で捕まれた脱獄犯はいきりたち、彼の仲間も加わって一触即発の空気が流れた。
その時、ルビィが二人の訪問者に向かって叫んだのだった。
ルビィ「待って!あんたらの探しているのって多分こいつらが知ってるわ。
調べてみたら一発やで!」
彼女がそう言って指し示したのはベネロとゼネロである。。驚愕するベネロら。
ベネロ「なにを言いだすでよ、ルビィ!」
オルトロス「ふっふーん。ほんとかな〜。青い髪のねーちゃん。
わいは女には結構だまされてるから信用しにくいで〜」
テュポーン「・・・しかし何らかの根拠があるのかもしれん。
どっちにしろ見当がつかないのならそいつらを調べた方が良さそうじゃ」
463 名前:こいつらの始末でもつけますか・・・ 投稿日:2000/09/10(日) 03:44
そういうとテュポーンは二人に糸のようなものを投げ、ぐるぐるに巻き付けてしまう。
ゼネロ「あんまりでよ、ルビィ。俺達がなにをしたっていうでよ!?」
オルトロス「うるさいな〜。
人間の身にやつしているとはいえ、お前達をひねり潰す力位はあるんだからね」
そう言ってオルトロスはわめき叫ぶ二人を抱え上げて出ていってしまう。
テュポーンもそのあとに続き、阿片窟は何事もなかったかのような静寂を取り戻した。
一人残されたルビィは呆然としていたが、やがて彼女の手の甲の上に数粒の涙が落ち始めた。
ルビィ「ごめん、ベネロ、ゼネロ・・・・。ウチって最低や、せっかく迎えに来てくれたのに。
もう後戻りできひんかもしれん・・・・」
>>473
「引き金」
464 名前:439の続き 投稿日:2000/09/10(日) 05:14
ゼムス「・・覚醒と共にその人格に大いなる変化が生ずる、Gトランス能力者も、
ある「きっかけ」をなくして、その新たなる人格が表に出る事は無い・・。」
フライヤ「・・・・きっかけ?」
ゼムス「・・・・そう・・「きっかけ」。・・力を・・そして己の新たなる人格を目覚めさせる・・
「きっかけ」・・・・とは・・?・・・フライヤ・・お前はその力、Gトランス能力を始めて
意識したのはどのような時であった?」
フライヤ「・・・・・・!!(クイナと戦った・・・あの時・・・!憎しみと・・怒り・・そして・・
戦いの中に・・・そう・・その時生じた私の中の力に・・・快感を感じた・・あの時!!)」
ゼムス「・・・・人格に共通したプログラムを定めたところで、その覚醒に至るには、
そう、ある種、そのものが何らかの影響を及ぼされる事で、始めてそれを意識し、そして、
その定められし人格へと徐々に変化してゆく・・。今回のその影響・・・「きっかけ」とは
すなわち・・「戦い」。」
465 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/10(日) 05:17
フライヤ「・・・・・・!!戦い・・・・・」
ゼムス「・・・そう・・戦う事・・相手を憎む事・・相手を殺す事・・そしてその最中で意識する
・・・己の中の・・新たなる自分を・・・血に飢え・・暴力が快感と変化する心を・・・」
フライヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ゼムス「・・・故に「きっかけ」なくば、Gトランス能力者の暴力的人格は起動せざるによって
私は世界中を戦いに導く「きっかけ」・・もしくは「引き金」。・・それを作る必要があった。
・・・・それは私の手ではコントロールしない・・あくまで自主的に戦争を引き起こしてくれる
者の存在が必要・・そして私はその存在を自らの手で「作り出す」ことにした・・・・・。」
フライヤ「・・・・戦いを引き起こす「存在」を・・・作り出す・・じゃと?」
2つの例外
466 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/10(日) 05:18
ゼムス「・・・Gトランス能力を発案した私は、その力を操作、または設定の改良等を
自在にする事が可能だ・・。意思の変換・・思念の強化・・今回のような共通した
人格のプログラム設定・・そして・・・・その力による生命の削減の・・操作ですらな。」
フライヤ「!!ッ!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
ゼムス「・・・いわばGトランス能力者の生命は全てこの私の手に握られているといっても
過言ではない・・・。・・しかし今回はその中でも「例外」のケースを見る事が出来た。
・・私は先程、フライヤ、お前を殺しにかかった。・・・お前の体内に在りしGトランス能力の
エネルギーを暴走させその生命を一気に削りにかかった・・・が。」
467 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/10(日) 05:19
フライヤ「!!!!(・・・ッ!先程の痛みは・・・それか・・ッ!!)」
ゼムス「・・お前はそれに耐え抜いた。いわば、それはお前の身体から、私が操作することの
出来得るエネルギーが消え去った・・という事だ。故に私は最早、お前に対しての
Gトランス能力の操作が不可能となった・・そう・・「例外」のものとなったという事だ・・・」
フライヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 右手で胸部をグッ と抑えるフライヤ。
ゼムス「・・・・確かに私の力が、何らかの働きにより及ばなくなった・・というものを
「例外」と呼ぶが・・さて・・・偶然に「例外」となったお前とは別に・・・今回はもう1人の「例外」、
それを作り出す必要があった。私自身の手によってな・・・・。」
468 名前:名無しさん@お腹いっぱい 投稿日:2000/09/10(日) 05:20
フライヤ「(・・・例・・外・・れいがい・・例外例外例外例外例外例外例外例外・・・・!!ッ)」
――――― 私もお前同様、「例外」の存在であった・・・ ――――――
・・・!!まさか・・・いや・・・そうだ・・!!・・・確かに彼女は・・・・・
ゼムス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」フライヤ「・・・・・・・・・・・・・・ガーネット・・・・彼女の・・・新たなる・・「自我」の存在ッ・・!!」
探し人
473 名前:ゼネベネ顛末 投稿日:2000/09/10(日) 13:10
トレノ弐番街にて。
数日間、ゼネロとベネロはオルトロスとテュポーンの(生ぬるい)拷問を受け続けていた。
もちろん二人は「マントの剣士」について何も知るはずはなく、大げさに喚きちらすだけだった。
オルトロス「ふう・・・・。しっぶといね〜。
ってゆっか、やっぱしこいつら何も知らへんのでは?」
テュポーン「ううむ・・・。どうやらそのようじゃな。
実をいうとこいつらにはまったく奴の気配がしなかったのじゃ。
まず結びつきをもっている奴らではない」
オルトロス「ああ・・・ジークフリードの兄貴、どこいっちゃったんだろう?
世界崩壊のショックでこの世界に吹っ飛ばされたってのはホントなのかな〜。
兄貴を闘技場に連れていけば借金を半分にしてもらうって約束してんのに」
474 名前:ゼネベネ顛末 投稿日:2000/09/10(日) 13:10
テュポーン「ジークフリードはこの世界に迷い込んで訳がわからなくなっているはずなのじゃ。
ここの住人の誰かを媒体にしてこの世界と結びついているとすれば、
あの強さを利用されているという可能性もある。
2週間ほど前から壱番街に奴とおぼしき反応が現れた。
かすかな反応ではあるが、間違いなく奴はあそこにいる誰かと結びついておる」
ベネロ「2週間前といえば・・・ルビィがここに来たのと一緒でよ・・・」
テュポーン「な、なんじゃと!?あの女か!?」
テュポーンがそう叫んだ瞬間、壱番街の方面に物凄い爆音がとどろいた。
爆風は弐番街にも及び、彼らのいる窓がびりびりと音を立てる。
テュポーン「な、なにごとじゃ!?」
慌てて窓を覗くオルトロス。
475 名前:ゼネベネ顛末 投稿日:2000/09/10(日) 13:11
オルトロス「やっばあああい!!壱番街がなくなっちまってるよ!!吹っ飛んでる!」
テュポーン「ぐむむ・・・我々も向かうぞオルトロスよ。
お前達も来るのじゃ!」
そう言うとテュポーンの姿が徐々に変化し始める。
老人の肉体は信じられないほど大きく膨らんでゆき、
やがて巨大な煙のような見たこともない化け物に変化した。
一方、オルトロスの方もいつの間にかタコのような怪物に変化させている。
オルトロス「さっさと来いっつうの!」
オルトロスは恐怖と驚愕で声も出ない二人をわしづかみにすると
テュポーンの背に乗って、建物の天井をぶち破って出ていってしまった。
人々の目は壱番街の惨状に釘付けになっており、彼らの姿に気づいた者は誰もいなかった。